メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

2004-01-01から1年間の記事一覧

事実認識の基準は結局自分自身

我々は社会で起こっていることのすべてを自分自身で直接検証することはできない。だからメディアからの情報を基にしてさまざまな感想や判断を下すことになるのだが、ある事象なり事実について、表現がまったく対照的な異なる論評をメディアが提示することは…

兵庫県警の捜査ミスに画期的判決

先に治安低下が進んでいることに触れ、その原因として警察機構のトップの腰掛け的な事なかれ主義が挙げられると述べたが、それを実証するような判決が22日、神戸地裁であった。村岡泰行裁判長により、当時の警察の初動ミスは動かしがたいと認定されたのだ。…

年末は犯罪が増える

毎年今頃は、1年を振り返ってさまざまな出来事や事件が取り上げられる。そしてつい1ヶ月前の奈良の女児殺害事件では、犯人から大胆不敵なメッセージが家族に向けて複数回発信されるなど手がかりはあるはずなのに、いまだに何の進展も見られない。このところ…

データ・各地の初雪記録

日本は雪国だ。列島で雪と無縁なのは奄美諸島と沖縄だけで、温暖な気候と思われ がちな九州、四国の高地はもちろん平地でも雪が積もることが珍しくない。気象庁の 観測地点の中で初雪が一番早いのは富士山で9月半ば。最晩の平年値が7月10日だか ら、1年の…

明るい雪 暗い雪

雪が降り始める前には、えもいわれぬ気配がある。どんよりとした空が一段と低く なって、底冷えするような微妙な寒さを感じると、ひらひらと雪が舞って冬が来る。 不思議なことに厳冬期は、逆に冷え込みが緩んだと感じたところで雪が降る。 雪国で何年か暮ら…

『Nipponチャチャチャ』

[執筆:三木 賢治(みき けんじ)]ジャーナリスト。1949年生まれ。73年、毎日新聞入社。 社会部で事件取材の経験が長く、社会部デスク、編集委員、「サンデー毎日」編集長などを経て、現在は論説委員。◎日本の文化や習慣をテーマに、いろいろなデータを…

お粗末な日本の防衛ライン

2週間ほど前、中国の原潜が引き起こした領海侵犯事件は、事件発生6日後に中国側から「技術的な原因で誤って領海に入った」とのコメントが遺憾の意とともに表明されたことで、幕引きとなった。しかし事件の発端から決着までの経過を巡っては、あまりに悠長…

ローマ字表記にも垣間見える役所のやる気のなさ

以前に人名漢字についての役所の判断のいい加減さを述べたが、実は漢字だけではないようだ。今日の読売新聞の投書欄「気流」にローマ字の人名表記についての疑問が紹介されていた。パスポートの氏名はヘボン式で統一されているのだが、これには「ユー」のよ…

なぜ「曖昧表現」なんだろう?

昨日のTVニューで、女子中学生が援助交際を仲介した友達に対し、自分たちを利用して一人儲けているのが気に食わぬと、仲間と計らってリンチするという事件を報じていた。今やこの種の事件が珍しくもなくなった東京ではあるが、事件の内容というよりむしろア…

新潟中越地震に見る天皇ご夫婦の慰問報道

先日、天皇皇后ご夫妻が新潟中越地震の被災地を慰問され、TV各局、新聞などで報道された。特にTV報道や新聞のグラフでは、慰問を受けた地元の人々の表情が活写されて興味深い。どの顔も通常の報道では見られないほどにこやかな笑顔に溢れ、意外なほどだった…

真相は何処に?

インドネシア、スラウェシ島の北部にあるブイヤット湾に面したブイヤット・パンテという小さな漁村で、いま村民約300人の7割が腫瘍や発疹、頭痛などの「謎の病気」に襲われている。世界保健機構=WHOの委託を受けて、日本の国立水俣病総合研究センターが村…

矛盾を感じさせない細やかさと論理を

社説と1面コラムとは、ともに新聞における最も重要な顔である。コラムは時にユーモアや風刺あるいは幾分の感傷をもって書かれることもあり、それが執筆者の個性にもなっている。対して社説は、その新聞の拠って立つ根幹を示すものだ。だからこそ同じ事件や社…

親の気持ちを汲んであげたい

少し前に何かと物議をかもした「人名漢字」に関する法制審議会の答申だが、どうも行政に携わる人たちには、社会一般の素朴な常識が欠落しているらしい。これは先にマスコミでも散々報道された新しい人名漢字の一覧を見れば明らか。「膿、骸、糞、屍、娼、尻…

データ・刑法犯の推移と悪化する治安

<年度>--<認知件数>--<発生率>--<検挙件数>--<検挙率> 1946 ----- 1384222 ---- 1.827%--- 800431 ------ 57.8% 1955 ----- 1435652 ---- 1.608 ----- 968626 ------ 67.5 1965 ----- 1343625 ---- 1.367 ----- 812996 ------ 60.5 1975 ----- 123…

体感治安の正体

小学生の頃、母の帰りが遅くなると、最寄りの私鉄駅までよく迎えに行った。駅とは徒歩で5分ほどの距離で、近隣で犯罪が多発していたわけでもないが、夜道は物騒だ、と祖母から迎えに行くように言われたものだった。 暗くなって間もないと、道々街灯のスイッ…

データコラム「Nipponチャチャチャ」

[執筆:三木 賢治(みき けんじ)]ジャーナリスト。1949年生まれ。 73年、毎日新聞入社。社会部で事件取材の経験が長く、社会部デスク、編集委員、「サンデー毎日」編集長などを経て、現在は論説委員。◎日本の文化や習慣をテーマに、いろいろなデータを…

足りないのは物資ではなく「情報」

新潟中越地震から1週間。この間、被災地のさまざまな状況や救出劇などが報じられた。ようやく仮設住宅の計画も具体化の方向が見えてきたという。一方では貴重な支援物資が新潟や長岡などの大都市に滞留して、山間部の過疎地まで行き渡らないとの問題もある。…

あ、子どもが生きている!

連日の地震報道で新聞もTVも溢れているが、今日は崩れ落ちた岩石の下敷きになっていた母子3人の救出の様子をTVの前で見つめ続けた人が多かったのではないか。途中で3人生存の可能性が報じられると、なおさらのこと祈るような気持ちが高まった。そんな中で2歳…

緊迫状況下のドラマ〜新聞の筆力〜

相次ぐ台風の上陸、追い討ちを掛けるような新潟県下の地震など、このところ自然の猛威に翻弄される人間の無力さを思い知らされるような報道ばかりが目に付く。しかしその中で、滋賀県舞鶴市内の由良川沿いの国道175号線で発生した観光バスの水没事故の記事は…

若者よ 自分の足で歩け!

新聞記事の中で人生相談欄は、比較的購読率の高い部分ではないだろうか。悩み事であったり、進路相談であったりとテーマはさまざまだが、共通するのは所詮他人事だという安心感の上に立つ覗き見的な好奇心だ。だから新聞だけでなく、TVでもラジオでも昔から…

信じがたい凶悪犯罪が身近で起きる怖さ

このところ、犯罪検挙率の低下がマスコミでもしきりに取り上げられ、平和が自慢だった日本での生活が身近なところでも脅かされている。犯罪が増えているとはいえ、それは多くの人々にとって新聞で読んだりTVで見たりする、どこか他所の出来事であった。しか…

「もんじゅ」事故に見る相変わらずの形式応答と取材

少し前の読売新聞紙面に、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏出事故をめぐって自殺した旧動燃の元社員で内部調査担当者の遺族が、自殺の原因は記者会見で虚偽の発表を強要されたため、として約1億4800万円の損害賠償を求める訴訟を起こした、との記事が出…

<データ・稲刈りのミニ知識>

品質改良と稲作技術の向上に伴って、水稲の反収(10アール当たり収量)は統計の残る明治18年からの百有余年間に約2・6倍に伸びた。しかし、作付面積は新田開発が大正期に限界に達し、戦後は増産策から一転した減反政策の影響で減少、最盛期の半分近くまで…

嘆きの稲穂

稲刈りシーズンを前に、宮城県の穀倉地帯を歩いてきた。見渡す限り、黄金色に輝やく稲穂の波。渡ってくる風もかぐわしい。農耕民族のDNAが騒ぐせいか、収穫前の田んぼに立つと、なぜか、心が弾んで満ち足りた気分になる。豊作となればなおさらだ。 駆け出…

データコラム「Nipponチャチャチャ」

[執筆:三木 賢治(みき けんじ)]ジャーナリスト。1949年生まれ。73年、毎日新聞入社。社会部で事件取材の経験が長く、社会部デスク、編集委員、「サンデー毎日」編集長などを経て、現在は論説委員。◎日本の文化や習慣をテーマに、いろいろなデータを踏…

<データ・台風被害>

台風は毎年平均27個発生し、平均11個が日本の海岸線から300キロ以内に接近し、 そのうち平均3個が日本に上陸している。戦後では上陸数が多かったのは90年と93年 の6個。月別の平均値では上陸数は8月と9月が共に0・9個で最多だが、秋雨前線 を刺激す…

遠ざかる野分

今年は台風の当たり年、8月末までに6個が上陸した。その6個目が九州を縦断した日、熊本で半日を過ごし、暴風雨の中を車で鹿児島まで走った。 熊本で泊まっていた宿では前日から物干し竿を片付けたり、植木鉢を室内に入れるといった慌しい動きが見られ、公…

データコラム「Nipponチャチャチャ」

[執筆:三木 賢治(みき けんじ)]ジャーナリスト。1949年生まれ。 73年、毎日新聞入社。社会部で事件取材の経験が長く、社会部デスク、編集委員、 「サンデー毎日」編集長などを経て、現在は論説委員。◎日本の文化や習慣をテーマに、いろいろなデータを…

<データ・戦争犠牲者>

◎第2次大戦中の日本人の犠牲者 軍人・軍属 ……230万人 民間人 …… 80万人◎「平和の礎」名簿登載者 日本人・沖縄 ……14万8610人 県外 ……7万5941人 外国人・米国 …… 1万4008人 英国 …… 82人 台湾 ……………… 28人 北朝鮮 … 82人 韓国 …………

数の追憶

夏が来ると終戦記念日との連想か、沖縄の小学校で長年、教鞭をとった中村文子さんから十年も前に聞いた話を思い出す。 悲劇的な最期で知られる「ひめゆり部隊」には、中村さんの教え子も何人か看護要員として加わっていたのだが、一人が奇跡的に生還した。そ…