メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

痴漢は犯罪行為です

 痴漢は犯罪です、とのポスターが鉄道など公共の交通機関の周辺で目に付く。もちろん痴漢行為は単に迷惑などではなく立派な犯罪なのだが、方やでは見に覚えのない冤罪も増えているという。日刊ゲンダイがサラリーマン向けに突発事故への対処法を「サラリーマンその時どうする?」と題して連載を組んでいるが、26日付(25日発行)では、痴漢の嫌疑をかけられた場合の対処法を紹介していた。タチの悪そうな女子高生に電車の中でいきなり手を掴まれ、「お前ッ、触っただろ!」と難癖をつけられ、おまけにその友達が目撃証言をするのだという。恥ずかしいし、冤罪なら腹も立つが大体がこうした場合では、分が悪い。すぐに次の駅で降ろされて運が悪ければ警察沙汰だ。その前に駅員に問い詰められることになる。みんな頭から犯人と決めてかかるのが通常だという。ところがこうした騒動の中で「痴漢の慰謝料の相場は、10万だけど誠意見せてよ」と件の女子高生がまるで開き直るのだ。そうなのだ、この例のように気の弱そうな男を犯人にでっち上げてその場で示談交渉を始める剛の者の女子高生が増えているらしい。怖い話だ。そして腹が立つ。冷静に考えれば、これは逆に恐喝で女子高生のほうが検挙されてしかるべきなのだが、現実はそうならないらしい。
 切り抜けるためのポイントは、警察が介入していない場合は、無実であることを堂々と主張して名刺を渡してその場を後にしてしまうことだという。名刺を渡すことで逃げも隠れもしないことの意思表示になるのだそうだ。とにかく下手な論争などしないで、現場を去ることがいいらしい。そして記事では触れていなかったが、速やかに弁護士に連絡して状況を正確に説明し、対策を講じておくことが必要だろう。厄介なのは、駅の職員や警察が介入してしまった場合だ。さらにいったん警察の取調室に入ってしまうと、無実を自分で証明できない限り「痴漢容疑」のレッテルを貼られてしまうという。確かにそうなると会社への義理立てもあるし、世間体を気にして堂々とは戦えなくなってしまうだろう。紙面でもそれだけは避けるようにと説いている。そして案外やってしまいそうで、やってはいけないのが「潔白なのだから出るところへ出よう!」などと意気込んでしまうこと。冤罪であることを証明してくれる証人もない痴漢冤罪事件では、とても危険な行為なのだという。万が一、件の女子高生が騒ぐようなら、電車から降りてその場で弁護士を呼んで仲裁してもらうべしと言っている。弁護士なんて、知り合いもいないし第一敷居が高くてどうやって頼んだらいいのか、というサラリーマンは多いだろう。心配は要らない。正義はあるのだ。各都道府県には当番弁護士センターがあって、連絡すれば初回は無料で来てくれるという。したがって、自分の通勤経路と会社の所在地周辺の弁護士センターの連絡先を手帳にメモしておくべきだろう。分からなければ、各地の弁護士会に問い合わせすれば教えてくれるはずだ。
 それにしても、こんな不埒な女子高生が増えているなんて、けしからん話ではある。とはいえ相手は手強いのだ。とっちめてやろうなどと考えず、見に覚えのない痴漢騒ぎに巻き込まれそうになったら、毅然と速やかにかつ名刺を残すなど逃げない姿勢を見せつつ現場を離れることである。それにしてもいやな世の中になったものだ。