メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

増殖する「無神経」

 あらゆる生活の風景の中に「無神経」が増えている。電車などの公共の乗り物、駅、道路、映画館、劇場などなど・・・ 数え切れないほどの無神経な光景が、まるで悪質なインフルエンザのように蔓延している。日本人は謙虚で慎み深く他への心配りをわきまえた民族、との評価は、今ではすっかり昔話になってしまったようだ。男の子がズボンのベルトを思いっきり低く穿いて、今にもずり落ちるのではないかと周囲に心配させたり、うら若い乙女が電車の中で人目もはばからず化粧に余念がないなどは、可愛いほうだ。別に人に迷惑をかけることはなくて、ただ自分のバカ面をひけらかしているだけだから、それなりに見下げてやればよい。困ったのは、そして腹が立つのは明らかに人様に迷惑をかけていて、我れ関せずと済ましている輩が多いことだ。

 例をあげてみよう。最も目につきやすい電車の中で言うと・・・。思い切り浅く腰掛けて足を通路に投げ出している奴、混んでいるのに人のほうに靴底を向けて足を組む奴。もちろんこれらは男に限る。さらに、乗降口を半分体で塞いでおいて、他の乗降客が通りにくそうにしているのに平気で読書中、かなり混んできているのに座席の横に荷物を置いて二人分を占有、降車客がいるのに押しのけて我先に乗り込み座席を確保(最近は子どもでも見かける)、ちょっと詰めればもう一人座れそうなのにのんびりと寛いでゆったり間隔で鎮座、でかいリュックを背負ったまま乗り込んで後ろの人をぎゅうぎゅう圧迫、等々・・。挙げはじめたらきりがない。こうした腹が立つ光景は、どちらかといえば若い世代に多いのだが、しかしこのところ気になるのは、そうとばかりもいえず、分別のありそうな大人世代にも少なくないことだ。

 30代半ばでくらいの若い世代で、言葉や礼儀を知らない人間が増えているとの指摘を耳にするが、実はこうした若い世代の未熟さやバカぶりは、教養や経験のなさが原因だから、自分自身を磨くことで解決はできるはずなのだ。問題は、いい年こいたおじさんやおばさんが、本来なら若い世代の手本になるべきなのに、そうした自覚もなく無節操に人生を過ごしていること。先輩世代がこんな風だから、若い世代に注意することもできないし、範を垂れるような気概もない。ただの厚顔無恥がまかり通っている。これは若い世代の無軌道よりも始末が悪い。せめて自分くらいは、反骨精神を発揮して嫌われ者になろう、とひそかに覚悟を決めている。長い足を踏んずけて、ドアの前で邪魔する奴を肘で押しのけて、荷物は退けろと声をあげ、タバコを吸ってたら吸殻を拾って落し物ですよと教えてあげよう。それにしても、このところ街を歩くと不機嫌が増幅される一方だ。あ〜しんどい。