メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

村意識から抜け出せない自治体の首長

 次回の統一地方選で、間違いなく落選候補だろうと思しき自治体の首長の名前が、朝日新聞に載っていた。宮城県大崎市の伊藤康志市長と村井嘉浩宮城県知事、さらに大阪府池田市の倉田薫市長だ。何故か? 年金保険料の着服問題で、社保庁自治体に代わって不正者を告発すると発表している(実際に発表しているのは枡添厚労相)が、この事態に各自治体では厚労相に失望を表しており、この3名が代表する形で名乗っているからだ。言うまでもなく保険料は公金であり、それを着服することは公金横領というれっきとした犯罪である。中には着服した金額を返済したから勘弁しようとの論理を述べる首長もいるようで、この3人などはその代表格だ。
 この3人だけでなく、同様の論旨を述べる首長は多いらしい。まったくおかしな論理で、その奇妙さにも気づいていない。いっそのこと各メディアは、自治体の首長にアンケートでもとって、社保庁の方針に賛成、反対の首長を公表したらいい。ネコババした公金を返済するのは当たり前。返したから罪を問わない、ってバカなことを言わないで欲しい。万引きして捕まって、代金払いますからと言えば見逃してくれるのだろうか。万引きつまり窃盗の罪は消えないのだ。公金横領は万引きに比べればはるかに罪は大きい。それをなしにしようというのである。まったく村意識に凝り固まった救いようのない発想だ。枡添厚労相は、少し前にこうした自治体首長の意識を小人の発想と切って捨てた。しかしそれを失言として報道するメディアは見当たらない。メディアの見識の高さとみるべきだろう。対してこの3人である。もし、次回の地方選で彼らが当選するようなことがあれば、その自治体の住民は、なあなあの低レベルの政治意識しか持っていないことを世間に晒すことになる。
 ぜひメディアに望みたいことがある。この3つの自治体だけでなく、今回不祥事を起こした公務員を抱えるすべての自治体に向けて、告発するのか庇うのか、さらに懲戒免職とした職員=盗人に、退職金=追い銭を払うのか、調べて一覧表にして発表してもらいたい。面白い結果になるだろう。そして間違いなくいくつかの自治体は、それまで庇うとしていた姿勢から寝返るだろう。寝返り率なども判明したらなお面白い。