メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

捏造はTVだけか?

 フジTVの「発掘あるある大事典Ⅱ」データ捏造事件をきっかけに、さまざまな捏造番組の実態が浮き彫りになっているが、捏造体質はTVだけではないかもしれない。TVのあるある〜は、健康をテーマにしているだけに視聴者の関心も高く、なおさらデータを受けのいいように解釈して作ってしまったことは重要な要因になっている。どうも健康に関しては、大衆はわっと飛びついて影響を受けやすいと見える。だからメディアの側も、受け狙いに走るのだろう。こうした事情が今回の捏造事件を生み出した背景にあるともいえるのだが、その裏づけとなりそうなのが、毎月新聞紙面を飾る健康雑誌の広告だ。例えば、このジャンルでは老舗といえる雑誌の4月号の広告を見ると、なんとも過激な表現が連ねられている。
 曰く、「富士山の写真を飾ったら現金商品券が当たった、就職、結婚ができた、不眠、ひざ痛が消えたと大反響」「ショウガ酢で糖尿病、高血圧が大改善、便秘、冷え性、不眠が治っている!」「ホットヨーグルトで6キロやせた、シワ・ニキビが消えた」「唐辛子ダイズでM字ハゲ、すだれハゲに黒髪が生えたひざ痛、うつにも効いた」などなどである。健康専門誌はみな大同小異で、その過激さはTVの比ではない。一般への影響力の点では、確かにTVの視聴者数に比べて雑誌の購読者数は少ないが、メディアであることに変わりはない。こうした健康雑誌の広告はこれが当たり前だからいまさら驚きもしない、ということなのだろうか。それにしてもである、仮にもマスメディアであるからには、こうした記事の内容についての検証やデータの実証はどの程度なされているのであろうか。あるいはまったく野放しなのか。TVでの捏造事件に関連して、ある大学教授が「食べるだけで病気に効いたり健康になる万能フーズなんてものはありません」と語っている。この言葉はTVだけに向けて発せられたものではないだろう。