メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

無視できない隣国の環境汚染

 環境汚染は、基本的には国内問題であり他国がとやかく言えない面がある。しかしその範囲が極めて広範で、ましてや該当する国自体に対策を講じようとする意識が希薄、あるいは手段を持ち得ない場合は、立派な国際問題だ。アジアの大国、中国は方やでは地球規模の環境汚染問題を抱える悩める大国でもある。今年すでに日本にも襲来し、年々ひどくなる「黄砂」とその背景になっている周辺地域の砂漠化問題、工業化に比例して酷くなる一方の二酸化炭素排出量の増加、化学工場の事故に起因する河川の水質汚染などなど・・・ 枚挙に暇がないほどなのだが、この国の問題の根は他にもある。問題に対する認識の甘さであり、それはすでに民族的な体質にもなっているようだ。
 13日付の読売新聞の外電によれば、雲南省シャングリラ県の碧沽天池で撮影された映画の残骸がほったらかしになっており、環境破壊として国内でも批判が起こったという。日本でも先ごろ公開され、真田広之や韓国のチャン・ドンゴンが出演するなどで話題になったアクション映画「PROMISE」で、撮影の舞台になったのは標高4000メートルの高原地帯。ニュースの元になった新華社通信によれば、現地には撮影に使用された杭が100本以上、湖畔には高さが10m以上もある建造物が放置されたばかりか、伐採が禁止されている高山ツツジの繁殖地が道路になって何と弁当箱などのごみが散乱していたという。中国国内では、行政やメディアが、こうした行動に平気な映画界や撮影に好意的な地方自治体を批判しているというが、映画側は原状回復を地元当局に委託済みで回復作業は終了したと反論しているようだが、そのまま信じられない気もする。それと、こうした話題を環境保護に熱心な中央政府の姿勢として対外的にPRすることで、もっと大きな国際的な環境問題への取り組みという重要な課題から目をそらすための作戦ではないか、と見るのは勘ぐり過ぎだろうか。