メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

無策に過ぎた竹島問題

 竹島の領有権を巡る日韓の緊張は、ここしばらくは解けることはなさそうな気配だ。韓国政府が、4日付で竹島の管理のために今後5年間で41億円を新たに投入すると発表したのだ。すでに竹島には韓国の灯台や宿泊施設、警備のための常駐人員が配置されている。そこへ新たに41億円というかなりな額の予算を割くという。また何かしらの恒久的な施設が建設されると見るべきだろう。対するわが国の対応はどうだろう。先だっての海底調査船派遣を巡っては、結局韓国側の海底地形に関する韓国語での表記提出を見送らせた、つまり日本外交の粘り強い努力が報われた、との論調も耳にするが果たしてそうだろうか。今回の発表は、名を日本に与えて実はしっかり確保する韓国側のしたたかな外交手腕を見る思いがする。というより、わが国の見通しの甘さ、ひいては無策ぶりをさらけ出した格好とはいえないだろうか。
 わが国の姿勢は、あくまで歴史的、地理的な見地から客観的な事実として竹島は日本固有の領土と主張してきた。しかし、数年前からすでに韓国側はさまざまな手段を講じて竹島の領有を既成事実化する行動をとってきた。極論すれば、大儀などどうでもいい、実質支配ができればおのずと領有権は国際的にも認知されることになり、日本が何を言おうと結局日本は何もしてこなかったではないか、との論理で押し切っていこうとする。実際、現状で推移すればそうなる可能性は高い。外交とは駆け引きであり、結果がすべてであることはいまさら言うまでもない。客観的な事実として、あるいは国際論理上の評価として竹島が日韓どちらの領土なのか、正直なところわからない面もある。もちろんこれは筆者の勉強不足、情報不足であるが、しかし現実問題としてみると、このままでは竹島は韓国領土として既成事実化してしまうのではないかと思えてならない。もっと初期の段階で、韓国が施設を建設しようとする時点で何らかのカウンターアクションをとるべきだった。それをせず、冷静な話し合いで外交的解決を図る、などといまさら言ってみても後の祭りに過ぎないのではないか。前回の調査船派遣問題で、いったんは矛を収めたかに見えて実はその裏で“予算+新たな施設作戦”を着々と進めていたのだろう。すでにあれだけの施設建設など既成事実を構築している韓国に対して、当方も何らかの物理的な対応をとるべき、と考えてもそれは難しい。無理に現地で何らかの行動を起こせば武力紛争に発展しかねない。第一、誰があの島に乗り込むというのか。民間人には、まして代議士先生たちにはその度胸はないだろう。とすれば海上保安庁か。しかしそれも難しい。自衛隊が行けばもっとダイレクトに韓国側は挑発と受け止めるだろう。つまり手詰まりなのだ。9月の退陣まで4ヶ月ほどとなった小泉内閣が何か行動を起こすことはまずありえない。したがって、まず41億円の内からいくらかは分からないが投入して、9月までに何らかの施設建設の動きを始めるだろう。それにより、事実の足元をさらに固めてくるはずだ。韓国は手ごわい。