メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

人間はなぜ危険に惹かれるのか?

 アフガニスタンで二人の教諭が殺害された。現在のアフガニスタンは、外務省が危険度の最高ランクとして以前から警告を発している地域だ。そんな場所にジャーナリストでもない、ただの学校の先生がなぜ行ったのだろうか。どうもこうした場所へ行く日本人の常ではないかと思われるのだが、今回の二人もかなりの軽装だったようだ。現地情報に詳しいガイドもつけていなかった様子。先に話題になったイランで人質になった3人と2人の二組の邦人の場合は、ジャーナリストとして、あるいは何らかの平和活動につながればとの政治目的など、背景はなんにせよ理由や同機づけはあった。射殺された橋田さんの場合は状況が違う。今回の事件は動機が何であったのか、いまのところまったく見えていない。まさか観光旅行でもあるまいとは思うが。二人の教諭が現地入りしたのは、1ヶ月ほど前だというから、ちょうど夏休み時期ではあった。学校の先生は夏休みが長いので、まとまった旅行や視察、研究などを休みの間に計画することも多いらしい。今回犠牲になったお二人も単なる旅行ではなかったと思うのだが、いまのところ渡航目的や現地への入り方など詳しいことは判明していない。
 報道は、ご家族のコメントや学校関係者への取材などにとどまっている。そうした人々から得られるコメントも「反対したのに」「もっと協力に引き止めるべきだった」など、感想に過ぎない。今我々が知りたいのは、彼らの目的や渡航から現在に至るまでの足跡である。特に目的に関しては、彼らが出かける前に周囲に対して何らかのヒントを残しているはずだ。まったく誰にもしゃべらないで、密かに二人だけで準備をして出かけて行ったとは考えにくい。現に家族や親しい友人たちは、引き止めたというのだから、出かけることは知っていた。目的は何か、どういう手段で行くのか、どういう経路で行くのか、航空券はどうやって入手するのか、現地のガイドはどうするのか、そもそも二人にとってアフガニスタンはどんな意味を持っているのか・・・疑問は尽きない。お二人は相した疑問の数々を振り切ってまで出かけたのだから、何かしら明確な意思があったことは予想される。まさかなんとなく行ってみたくて、などという理由ではないだろう。
 新聞はじめ各メディアは、この問題を表層的な取材にとどめるのではなく、一歩も二歩も踏み込んだ核心を突く情報を提示してほしい。