メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

スノータイヤの広告に警告

アメリカでは、広告表現によって生活を脅かされた、あるいは何らかの損害を被ったとして訴訟が起こされる。典型的なものはタバコメーカーの広告だろう。若者が憧れる男らしいいかにもかっこいい表現につられてタバコを吸い始めて何十年、肺がんになった。その間なんら注意を与えてもらえなかったことで、膨大な損害賠償がまかり通る。日本でもタバコのパッケージには「あなたの健康を害するかもしれません。吸い過ぎに注意しましょう」と印刷されるようになって久しい。しかしこうした広告表現での配慮は、タバコに限ったことではない。

 読売新聞の読者投書欄に「スノータイヤでの表現に何らかの規制を」との投稿があった。とくにTVCMを見ていると、信じられないようなスピードでカーブを走りぬける映像があって、あたかもこのタイヤを装着すればあなたもこのようなスピードで安全に走れますよ、と言っているように思える。本当にそんなスピードで走れるわけはなく、もしそれを真に受けて事故を起こすドライーバーがいたらメーカーはどうやって責任をとるのか? という論調だ。アメリカではこうしたケースが増えており、企業は訴訟の嵐に襲われることが日常茶飯事になっている。日本はアメリカとは違う、とはいうもののこれからはPL法をはじめとして企業責任を監視する社会的動きが目立ってくるだろう。例えばこのスノータイヤの例で言えば、「この映像はあくまでもイメージであり、このようなスピードで走れると保証されているわけではありません」とか「この映像でご覧いただいている車の走行速度は、40㎞/hで安全上はこれ以上は保証できません」といった断りを入れることが必要になるのだろうか。消費者の意識としても、こうしたケースでは技術的な裏付けをもったデータでないと、額面どおりには受け止められないとの方向に行くのだろう。