メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

子供の安全のために何が必要か

 正月休み明けが明けて、学校が始まった。このところの子供を取り巻く犯罪不安に対して、学校だけでなく警察や地域が一致団結して防犯体制を強化しようとの機運が全国で盛り上がっているが、学校が始まるとともに横浜でも動きが見られた。初日の今週火曜日10日、神奈川県内の各警察署では、管内の小中学校358校を対象に、下校時の安全確認やパトロールを実施した。各警察署からは700人の署員が動員されたほか、保護者や教職員など5300人もが参加したという。翌日11日の読売新聞横浜版には、市内緑区の市立霧が丘中学校での下校風景が写真付きで報道されていた。それによると、この学校では生徒約120人が午後2時半ごろから下校となったらしいが、それに対して何と緑署員7人、教職員ら15人が校門付近に立って生徒を見送った。写真では、関係者がずらっと一列に並んで生徒たちを見送る風景が紹介されていた。
 しかし、この光景を見て疑問がわいた。確かに生徒を校門で見送ることは必要だろう。声をかけて下校時の注意を促すことは、生徒たちの自覚を促して防犯効果もあるだろう。しかし、犯罪は学校の前では、普通は起こらない。危険性があるのは、下校の途中なのだ。であれば、生徒の数よりも多いと見えるような人数を校門の前に並べることが必要だったのだろうか。むしろ少しでも下校コースに配置して生徒たちの周囲に目を光らせることのほうが重要だろう。となれば、この写真の後に件の霧が丘中学校では、どのコースにどの程度の人員を配してパトロールを実施したのか、そちらの状況を詳細に報道することのほうが重要だと思えるのだが。おそらくこの取材写真は、学校あるいは警察関係から支局に連絡が入り、PR効果的な観点から実施されたものだ。こんなにみんなで協力して防犯に努めていますよ、というパフォーマンスではなかったか。取材する側にしても、そんな要請があったら、ならばその後の具体的なアクションはどんな計画なのですか、どこへ行けば生徒を見守る防犯部隊の光景が見られるのですか? と疑問を発してほしかった。そうなれば、指定された校門前でお決まりの構図を撮るよりも、記事としてはもっと興味ある内容になったのではないだろうか。