メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

崩れ行く安全神話

日本は、世界でも有数の治安のいい国だとの評価がある。しかし、最近は少年犯罪や残酷な快楽殺人など、血なまぐさい犯罪が後を絶たない。犯罪検挙率もこの数年、低下の一途をたどっている。「安全」「治安の良さ」は日本が世界に誇れる文化だったが、このまま昔話になってしまうのだろうか。そして、日本と並んで治安がいいといわれたシンガポールでも最近少年による暴力事件が急増しているという。

シンガポールの大手新聞、ストレーツ・タイムズ紙によれば、少年たちが盛り場で徒党を組んで抗争する事件が続いて、警察が警戒を強めているという。素手での殴りあいやナイフを使っての傷害事件で、01年以来すでに死者は3人に及ぶ。こうした暴力事件は増える一方で、今年はすでに前半だけで245件もの乱闘事件が発生している。そのうち、未成年によるものは38%、94件となっている。昨年同期より22件も多い。乱闘やケンカで逮捕される未成年者も01年が250人だったのが、02年は446人、03年には493人、さらに04年は512人に上っている。同国は、東京と同じくらいの広さで人口は400万人ちょっと。しかもかの有名なリー・クアン・ユーの指導のもと、何でもかんでも罰金で規制するという独特の法制度のおかげで、大変行儀のいい国であったはずだ。確かに最近は不慣れな旅行者を狙った強盗事件なども報じられていたが、それが大きな話題になるほどむしろ治安の良さが目立つ国だった。日本だけでなく、シンガポールのこうした現象を見るにつけ、世界中から治安のいい国が消えていくのだろうかと心配になる。警察当局は、若年犯罪の増加に対して、「もはや少年というだけで特別扱いしない。初犯でも起訴する場合もある。」と述べており、少年犯罪への新たな対応が、この国でもキーワードになるようだ。