メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

ライブドアの続報

ライブドアの経済論理
 ニッポン放送の株取得を巡るライブドアvsフジTVの戦いは、法廷に持ち込まれての第二ラウンドに舞台が変わりそうな気配だ。現在論点になっているのは、集約すれば堀江氏の時間外取引がルール違反であって、ニッポン放送のフジTVへの新株発行の予約権付与は違法になるのだろうか、との二点。今日の国会では南野法務大臣が「ニッポン放送への支配権を守るためとすれば違法になる可能性は高い。」と答弁した。いずれにせよ来週には東京地裁の判断が下ることになるのだが、こちらの違法か適法かは法律上の判断なので白黒はっきりする。対して堀江氏の行動は、株式取引の一般的なルールに照らしてどうかということであって、法律的な問題ではない。しかし、28日(月)のTV朝日「TVタックル」で評論家の三宅裕久氏が、「やり方がよくない。第一ネクタイもしないで公の場に現れるのはけしからん。ネクタイがないのなら私のを1本くらいやるから。」となんとも見当外れの発言をしていた。まあこれはご愛嬌としても、堀江氏の方法論についての正確な認識が足りないのではないか。しかも困ったことに、マスメディアの大方が、あれは違法だとばかりのイメージ誘導を狙っているとしか思えない連日の論調が気になる。
 同じ今日28日付けの毎日新聞ニュース解説面に、野村証券元会長・相田雪雄氏の発言が紹介されていた。それによると堀江氏の時間外取引を78年の江川卓投手の巨人軍強行入団にたとえるのはばかげている、とのことだ。「空白の一日」といわれるこの事件は、日本のプロ野球史を飾る有名事件だが、あれはあくまで野球協約という規則が見逃した奇策を弄して横車を押し通したものであり、今回の一件とは明らかに違うという。外国畑一筋で、日本の証券・金融ビジネスや政治・社会のいびつさを感じてきた相田氏にとって、日本は政官業の主流と大手メディアが結託した馴れ合い資本主義の場と映るようだ。90年代に改革・開放を探る機運が盛り上がったものの、結局その後は「日本には日本のよさがある」式の開き直りが横行して改革は進まない。その意味で堀江氏の挑戦は小気味いい、とする。ただしその一方で、彼はもっと語るべきだともいう。つまり、昨年の後半にあれほどもてはやされていたのに、わずか2,3ヶ月でこれほどまでに叩かれる結果を招いたのも、具体的な戦略の方向性が見えないからだろう。それは危ぶむのではなく、彼に対する期待感の裏返しだと見てもいいのではないだろうか。