メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

オフサイドの新ルールが悩みの種に?

 王者ブラジルが圧倒的にアルゼンチンを破っての優勝で幕を閉じたコンフェデレーションズカップ。惜しくも決勝トーナメントには進めなかったが、あのブラジルとあわやの内容の試合を見せたわが日本代表、メキシコとの2時間に及ぶ死闘の末、退場者を出しながらもなんとか3位に食い込んで主催国としての面目を保ったドイツ、など話題は多かった。そしてもうひとつちょっと通好みの話題が、この大会から適用されたオフサイドの新ルールだ。実際に中継で見るとかなり違和感がある。一番の違和感は、従来なら明らかにオフサイドの笛がなっているのに、一瞬ラインズマンの旗が上がるのが遅れる。ずいぶんレフェリーの反応が遅いなーとの印象を抱くほどだ。実際、事情を知らない観客も多かったようで、ブーイングも出ていた。

 サッカーのルールの中で最も分かりにくく、それだけに注目されるオフサイドのルール。従来は、ボールを持つ攻撃側がパスを出した瞬間に、味方が敵側=守備側の最終ラインよりもゴールに近い位置にいるとオフサイドの反則となる。したがってパスを出した瞬間にラインズマンが旗を揚げ、主審が笛を吹く。サッカーをよく知らない人が一番分かりにくいというのが、このオフサイドのルールなのだが、慣れてしまえばさほど難しいことはない。ところが今回の改正で非常にややこしくなってしまった。ポイントは、従来の状態だと「オフサイドの位置」ではあるがオフサイドにはならないという点。ではいつオフサイドになるのか。オフサイドの位置にいる選手がボールに触った瞬間に改めてオフサイドの笛が鳴らされる。結果的に、これまでのルールで「おっ、オフサイドだ!」と思ってもそうではなく、そのあと長いときなら数秒程度の時間経過があった後に初めて笛が鳴る。

 観客だけでなく、ラインズマンにとってもややこしいことになる。というのは、オフサイドの位置にいるのは1人とは限らないからだ。しかも、この新ルールを利用して新しい攻撃パターンを編み出す監督も出てくるといわれている。例えば、敵側守備陣の後、つまりゴール側に3人いたとしよう。そこへ味方からパスが出る。もちろん従来なら3人まとめてオフサイドだが、これからはまだこの時点ではセーフ。そして。パスの後から4人目の攻撃側選手が少し遅れて飛び出してくるようなケースだ。4人目の選手はオフサイドではない。さて、こうしたケースでは、ラインズマンは始めの3人+4人目の飛び出した選手と合計4人の選手の動きに注意して、なおかつ記憶しておかなければいけない。誤って4人目のセーフの選手に対して旗を挙げれば誤審となるのだ。
 これは国際ルールだから、国内のJリーグでも適用される。しばらくは、オフサイドの新しい局面に目が離せないだろう。