メディアの隙間から

10数年にわたるPRマン時代の感性をベースに、メディアに日々接する中で感じた??を徒然なるままにつぶやく。2020年末に本当に久しぶりに再開

記者は質問に工夫を

 記者会見やスポーツの試合後のインタビューで、いつも感じることだが、取材記者の質問になんと工夫のないことか。先週の10日、300人もの取材陣を集めてハニカミ王子の石川遼選手がプロ転向の記者会見を行ったが、その席上でも同様だった。石川選手は、確かにアイドル的な人気でこれまで注目されてきた。アマチュア時代のアイドル的な存在であれば、それなりにかわいらしさを引き出す質問内容でも許されただろう。しかし、今回の会見はプロを目指してのスタートである。プロを目指すからには、海外進出も含めての戦略など、具体的な行動計画やトレーニング、さらには厳しくなる試合環境への覚悟などメディアとして聞きたいことはたくさんあるはず。
 ライブドアのスポーツブログに寄せた、ゴルフジャーナリスト舩越園子氏の取材観察記事によれば、「おせちは食べたか?」「プロ転向を決める家族会議は、おせちを食べながら?」などぬるい内容ばかり。これでは、ハニカミ王子08年を語る新春会見、である。「プロとしての目標は?」との質問も当然ながらあったのだが、舩越氏によれば、この質問についての石川選手の答はなんとも曖昧なもので、アメリカならすぐに鋭い突込みがあるはずだという。当の舩越氏も、夢はマスターズで優勝すること、との石川選手の答に対して、どの程度現実的・具体的に計画しているのかとの質問をぶつけている。案の定、彼の口からは明確なビジョンが語られることはなかった。
 記者からの質問のゆるさは、特にTVでは明確に判明してしまうのだが、例えばサッカーのオシム前日本代表監督が辛辣に指摘していた。いつも感じるのだが、質問すべき記者は事前にどの程度準備をしているのだろう。あるいは余りにも核心に迫るのは失礼になるからと、遠慮してしまうのだろうか。そろそろゆるい質問はやめよう。大衆が喜ぶのではなく、納得するコメントを引き出すための、的を射た大人の質問風景を見たいものである。